パソコン購入を直談判

入社当初、うちの営業所にはパソコンというものがありませんでした。
それまでいくつかの企業で事務仕事の経験がありましたがパソコンがない会社は初めてで、心底驚いたのを覚えています。

事務所には数十種類の在庫品があり、品目も数量も変動が激しく、一体どうやって在庫管理をしているのかと上司にたずねてみると、空欄の表が印刷された紙を数枚渡されました。

毎月この紙をコピーして、手書きで品目と数量を票に書き込んでいたようです。
もちろん計算は電卓で、何度も試算してはやり直すという手間のかけようでした。

その場で上司に直談判してノートパソコン2台を購入してもらいましたが、あの時却下されていたら、今でも手書きで在庫管理していたかもしれません。
こんなアナログ的な仕事では、取引相手にも影響が出ているはずで、調べると案の定という感じです。

家族経営な上に、誰もパソコンを使おうという発想がなかったことに仰天です。
時代の流れに対応出来ない企業は、廃れていくばかりなのに、なんとも呑気な社風でしたが、取引先だけは失ったことが無いというのが不思議です。

これは社長を始めとする経営者の人徳としか考えられない。
でもその秘密がようやくわかってきました。

取引先との仲が非常に友好的なのです。
それはもう、取引額に関係なく、そして商売を抜きにして信頼関係の強固さがあるのですよ。
ですからお互いの問題点はお互いにフォローするという暗黙の了解があったのでした。

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